地球温暖化問題
「二酸化炭素と地球温暖化」と言う言葉を聞くようになったのはいつごろからでしょうか。ここ数年、いや10年くらいかな、と思っている人も多いと思います。実は1889年にスバンテ・アレニウスというスウェーデンの科学者が、二酸化炭素と地球温暖化の関係について指摘しています。この地球温暖化という問題が地球環境にとって非常に重要なテーマとしてクローズアップされています。
1.温暖化することの問題点
では地球が温暖化すると何が問題となるのでしょうか。 今までの気候が大きく様変わりすると考えられています。その結果として世界中で、
- 今よりももっと暑かったり、もしかするともっと寒かったりする、極端な気候に変わるかもしれません。
- 今よりも暖かくなると、今のような雨や雪の降り方が変わることが考えられます。
- 雨や雪の降り方が変わることにより、水不足になったり洪水になったりするかもしれません。
- 今よりももっと強烈な台風、サイクロン、ハリケーンが発生するかもしれません。その結果として災害の規模も大きくなるでしょう。
- 水が得られずに、米や小麦、トウモロコシなどの生産できる地域が変わるかもしれません。
- 逆に、暖かくなることにより農業生産力の高くなるところがあるかもしれません。
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気候が変わることにより、その土地の生態系が変わり、今まで見られなかった生物が侵入してくるとともに、今までの生物が見られなくなるかもしれません。
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暖かくなることにより、今まで熱帯地域にしか見られなかった伝染病が北上してくるかもしれません。
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南極やグリーンランドの大陸氷河が溶けて、海水面が上昇しそうです。
- 海水の温度が上がることにより、海の生態系が変わるかもしれません。
- 海水温の上昇は水の熱膨張により海面の上昇をもたらすでしょう。
- 海面の上昇により低地で人が住めなくなる可能性があります。高潮などの被害も大きくなるでしょう。
といった、いろいろな問題が出てきそうです。
2.温暖化問題 世界と日本の取り組み
このような問題が本当に起きるのでしょうか。もし起きたら世界中が困るのだから、世界で共通の認識を共有する必要がある、と考えるのは当然の成り行きでしょう。
3.温暖化のメカニズム
次に温暖化はどのようにして起きるのでしょうか。 地球の温度は太陽の放射熱で温められ、暖まった地球から放出される熱とのバランスによって決まります。地球からの熱は赤外線となって宇宙へ放出されますが、大気の中にはこの赤外線を吸収し、再び地球へ放出するガスが存在しています。このため、太陽からの熱放射以上に地表付近の温度が高くなります。これを温室効果と呼びます。
この温室効果を持つガスにはいろいろなものが知られていますが、その代表的なものに二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)があります。これらは地球の誕生とともに存在していましたが、人間がさらに六フッ化硫黄(SF6)、ハイドロフルオロカーボン(HFCS)、パーフルオロカーボン(PFCS)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などを大気中に放出しています。
温室効果がなければ地球は氷の惑星です。温室効果ガスのおかげで今の地球の豊かな生態系が成立しているのです。でも、温室効果が強すぎるとどうなるのでしょうか・・。
4.将来予測
IPCCの第四次評価報告書では次のように述べています。
まず、地球に出入りするエネルギーのバランスを変化させる影響力について検討し、正の放射強制力は地表面を暖め、負の放射強制力は地表面を冷やすとしたうえで、1750年以降の人間活動(温室効果ガス、エーロゾル、対流圏オゾン、ハロカーボン類等)が、温暖化の効果をもたらしたことの信頼性はかなり高いとしました。
環境省訳2007年5月22日版
また、その影響は観測された事実として、1906年から2005年の100年間における気温上昇は0.74℃、20世紀中の海面上昇は0.17mと推定、北半球の積雪面積は減少を続けているとしています。
環境省訳2007年5月22日版
このような状況をコンピュータの中で再現し、将来を予測することが試みられました。ただ、その条件となる社会条件はいろいろパスが考えられます。また、シミュレーションを実施している研究機関もたくさんあります。そのため、予測の範囲はある幅を持って計算されることは仕方のないことです。 IPCCでは経済発展重視、環境と経済の調和、グローバル化、地域主義化の4つの大きな方向性をたて、さまざまなシナリオを作成、世界中の研究機関で予測を行いました。
Summary for Policymakers,P14,WGi
その結果、2100年には最大で6.4℃の気温上昇が予測されています。 気温の上昇に伴う多方面への影響も予測されます。さらには、温暖化の影響はかなり長い期間にわたって影響を及ぼすことが予測されています。
5.京都議定書と京都メカニズム
京都議定書とは
(1)先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値目標を設定
○先進国とは、アメリカ、カナダ、オーストリア、日本、EU加盟国やロシア・東欧等市場経済移行国など
○対象となる温室効果ガスとして、二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・HFCS・PFCS・SF6の6種類を指定
千葉県地球温暖化防止計画(H18.6)より
異なる温室効果ガスについては、GWP(温室効果係数)を用いて二酸化炭素排出量に換算する。GWPは、第1約束期間については値が確定しているが、その後については最新の知見の獲得等により変更される可能性がある。
○数値目標は、2008〜2012の5年間(第1約束期間)に対し適用
- 基準年排出量と比べて、例えばEUは−8%、日本は−6%
- 基準年排出量は1990年の温室効果ガスの排出量(HFCS・PFCS・SF6については1995年の排出量としてもよい)
- 基準年排出量と数値目標から初期割当量を計算
- 基準年排出量は最新の知見の獲得等により変更される可能性がある。
- 植林等の吸収源活動による二酸化炭素の吸収増大量については、排出枠として初期割当量に加えることが可能
(2)国として目標を達成するための補足的な仕組み(京都メカニズム)を導入
○共同実施(JI)
先進国が他の先進国内で、温室効果ガス排出削減(または吸収増大)事業を実施し、その結果生じた排出削減量(または吸収増大量)の一部を取得できる制度
○クリーン開発メカニズム(CDM)
先進国が開発途上国内において温室効果ガス排出削減(または吸収増大)事業を実施し、その結果生じた排出削減量(または吸収増大量)の一部を取得できる制度
○排出量取引
排出量の数値目標が定められている先進国間で、排出枠の取得・移転(取引)を認めるもの(先進国合計の総排出枠の量は変わらない
6.千葉県の地球温暖化対策
千葉県は、1993(平成5)年度に、地球サミットで採択されたアジェンダ21の地域版である「ローカルアジェンダ21」として千葉県地球環境保全行動計画を策定し、地域の立場から地球環境保全の取り組みを始めました。また、1997(平成9)年に京都議定書が採択されてことをことを受け、2000(平成12)年度には「千葉県地球温暖化防止計画」(平成18年度改定)を策定し、県として地球温暖化対策を総合的に進めてきたところです。
計画では、県の温室効果ガス排出量が1990(基準)年比で1.3%減少となることを目指しましたが、結果としては、2008〜2012(平成20〜24)年の5年平均値で3.7%の増加となりました。
排出量が当初の計画どおり減少しなかった原因は、東日本大震災を契機に、電源を構成する発電所のうち火力の割合が増加したことや、事務所・店舗面積の増加、また、各主体の省エネルギーの取組も計画で想定していたとおりには進みませんでした。
なお、当初は計画期間を2010年(平成22)年までとしていましたが、東日本大震災の影響で国の地球温暖化対策が見直されることとなったため、計画期間を延長し、その間、特に再生可能エネルギーの導入に注力するなど、必要な対策を進めてきました。
- 1988年 2月千葉県環境憲章 制定(県民の環境保全に配慮した行動の規範)
- 1993年11月千葉県地球温環境保全行動計画(ローカルアジェンダ21) 策定 オゾン層の破壊、地球温暖化など9つの課題に対する行動計画
- 1995年 3月千葉県環境基本条例 制定
- 1996年 8月千葉県環境基本計画 策定 地球効果ガス発生抑制の地球温暖化対策を記載
- 1997年 3月千葉県環境保全率先行動計画 策定 千葉県の事務事業に関する率先行動の計画
- 2000年 2月千葉県地球温暖化防止計画 策定 目標2010年に基準(1990)年比▲6%
- 2006年 6月千葉県地球温暖化防止計画 改定 目標 主体別取組目標を設定(排出量)2010年に基準(1990)年比▲1.3%
- 2011年 3月 (東日本大震災)
- 2012年 3月千葉県地球温暖化防止計画の期間延長を決定
2015(平成27)年7月に、国が「2030年度に2013年度比で26%削減する」という目標を掲げ、翌2016(平成28)年5月に地球温暖化対策計画を策定しました。また、条約締結国すべてが参加して採択されたパリ協定により、世界的にも地球温暖化対策は新たな段階へと進みました。こうした世界や国の動きを受けて、千葉県においてもこれまでの取り組みをより一層進めた新たな計画を策定し、県民、事業者、自治体など全ての主体が一体となって地域レベルでの地球温暖化対策に取組んでいかなければなりません。また、温室効果ガス排出の削減対策に加え、今後想定できる最大限の削減対策を講じたとしても避けることのできない、気温の上昇や気候変動に対して適応していく「適応策」も必要となります。適応策は長期的な視点で、今後予測される気候変動の不確実さなども考慮しつつ慎重に検討する必要があることから、計画では千葉県の適応策の方向をとりまとめ、今後の施策検討につなげていきます。
計画期間
2016年度から2030年度まで
温室効果ガス排出量の削減率
2030年度に2013年度比22%削減
計画の目標
家庭・事務所・運輸・製造業の4つの主体で設定
家庭
- 世帯当たりエネルギー消費量:▲30%
- 自動車1台当たり燃料消費量:▲25%
- 家庭系ごみの排出量:▲15%
事務所・店舗
- 延べ床面積当たりエネルギー消費量:▲40%
- 自動車1台当たり燃料消費量:▲25%
- 事業系ごみの排出量:▲15%
製造業
低炭素社会実行計画の参加企業
その他の企業・中小企業
運輸貨物
県の取組
4つの基本方針のもと取組を推進
- 再生可能エネルギー等の活用
- 省エネルギーの促進
- 温暖化対策に資する地域環境の整備・改善
- 循環型社会の構築
7.私たちに出来ることは(一般家庭向け)
日常生活から発生する二酸化炭素の量は年間で一世帯あたり約3トンになります。
日常生活で使う電気や燃料(エネルギー)の消費や物品の購入が、「温室効果ガス」が増加している原因の一つにもなっています。
家庭でも次のようにエネルギーや省資源に配慮する必要があります。
(1)家の中での省エネルギーの工夫・配慮
@居間や居室では
- 冷房の温度を1℃高く、暖房の温度を1℃低く設定すると1家庭で年間約33kgのCO2が削減できます。
- 不要な照明は消し、テレビのつけっぱなしをしないと1家庭で年間約19kgのCO2が削減できます。
- 部屋を片付けてから掃除機をかけ、集塵パックをこまめに取り替えると1家庭で年間約4kgのCO2が削減できます。
A水回りでは
- 使い終わったら温水洗浄便座のフタを閉じると1家庭で年間約20kgのCO2が削減できます。
- 沸かした風呂は冷めないうちに続けて入ると1家庭で年間約81kgのCO2が削減できます。
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シャワーの使用時間を1日1分短縮すると1家庭で年間約51kgのCO2が削減できます。
B台所では
- 電気ポットを使わないときはコンセントからプラグを抜くと1家庭で年間約44kgのCO2が削減できます。
- 冷蔵庫の詰め過ぎをやめ、ドアの開閉時間を短くすると1家庭で年間約24kgのCO2が削減できます。
- 火力を鍋底から火がはみ出さない程度に調節すると1家庭で年間約5kgのCO2が削減できます。
- (2)買い物をするときの配慮
- マイバック持参などによりレジ袋の使用を削減しましょう.
- 環境への負荷の少ない製品や再生資源を利用した製品など、環境に配慮した製品の積極的な購入をしましょう
(3)外出する時の工夫や配慮
- 外出時には公共交通機関で移動し1週間に1回の自動車運転を控えると1家庭で年間約237kgのCO2が削減できます。
- 停車中はこまめにエンジンを切る、空ぶかしや急発進・急加速をしないなどエコドライブを実践すると1家庭で年間約135kgのCO2が削減できます。
- 使用状況を考え必要以上に大きな車の購入はやめて、可能であればハイブリッド車に買い替えましょう。ハイブリッド車に買い替えると1家庭で年間約814kgのCO2が削減できます。
(4)家を建てる、増改築するときの工夫
- 住宅の新築や立て替え時には、住宅の省エネルギー性能の向上や新エネルギーの導入を進めましょう。太陽光発電機を設置すると1家庭で年間約1,051kgのCO2が削減できます。
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新築や改築時には県産の木材を使用しましょう。また、庭やベランダ、屋上など住宅やその周辺を緑化しましょう
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